仮想通貨あれこれ

暗号通貨(仮想通貨)のこといろいろかな

NVTから見た足元のビットコイン妥当価格は32,312ドル

暗号資産(仮想通貨)の価値を探る方法として注目されるもののひとつに、「NVT」という指標があります。暗号資産の市場分析で有名なウィリー・ウー氏が考案した指標で、同氏のホームページではリアルタイムの数値を公表しています。NVT(Network Value to Transaction)はネットワークの価値(暗号資産の場合には流通するコインの市場価値)を日毎の取引量で割った比率で、この値が高ければ取引量に比べてネットワークの価値が高いことを、この値が低ければ取引量に比べてネットワークの価値が低
いことを表しています。NVTが中期的に一定の値に収斂することを前提とすれば、NVT比率の高低によって、ビットコイン価格が割高か割安かを評価することができます。

ビットコイン(BTC)のNVT比率(=時価総額/日毎の取引量の90日移動平均)を算出すると(時価総額はCoin Market Cap、日毎の取引量はblockchain.infoより)、2月17日時点のNVTの値は207と、過去の平均値よりも高いです。17日時点の取引量は7,740,989,999ドルですが、過去90日間の平均取引高4,683,605,642ドルにNVTの過去平均値128を当てはめると、ビットコインの妥当価格は32,312ドルと算出されます。この観点では、足元の市場価格52,211ドルは割高と評価されます。

2月9日時点のCMEのBTC先物建玉分析、中期的には7,215ドルの下押し圧力

CFTC(米商品先物取引委員会)は火曜日時点でのCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン(BTC)先物の部門別ポジションを当週末に公表しています。為替市場ではCFTCが公表している非商業部門(投機筋)ポジションがよく注目されます。

2月9日時点でのCMEビットコイン先物ポジションは、非商業部門のショートポジションは先週同様高い水準となりました(CFTCより)。ポジションが過去平均に回帰し、9日時点での非報告部門による13,340枚(約31.9億ドル)の買い越しが過去平均(6,529枚、約15.6億ドル)まで縮小することを前提とすれば、ビットコイン価格には7,215ドルの下押し圧力が働くことになります(16日時点のビットコイン価格は47,756ドル)。

CMEのビットコイン先物ポジションを見た場合、非商業部門ポジションとビットコイン現物価格の相関係数は-0.6(2017年以降のデータ)とCME先物建玉ビットコイン価格は連動性があるとは言いにくいです。また、非商業部門ポジションをディーラー、アセットマネージャー、レバレッジ、その他という4つに細分化した場合、各部門とビットコイン価格との相関係数は、対アセットマネージャーが0.6、対その他が0.6と正の相関であるのに対して、対ディーラーが-0.4、対レバレッジが-0.8と負の相関となっています。これらのデータを見る限り、いずれも明確な相関関係は確認できません。

ただ、非商業部門、とくにウェートが大きいレバレッジ部門のポジションには市場関係者の関心が高いです。レバレッジ部門の数字には、ヘッジファンドの売買が含まれているとの見方があるためです。難しいビットコインの価格予想のファクターとして、レバレッジ部門の建玉をチェックしておくのも手と考えられます。

ハッシュレート分析によるビットコイン妥当価格は18,389ドル

ビットコイン(BTC)の価格予想を行う上で重要な要素のひとつにハッシュレートがあります。ハッシュレートは、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)をマイニング(仮想通貨の新規発行や取引承認に必要となる計算作業)する際の速度を表すものです。具体的には、1秒間に何回計算が行われているかを示しており、ハッシュレートが高いということはマイニングを行う処理速度、つまり処理能力が高いということになります。ハッシュレートが高くなる要因にはマイニング参加者の増加が挙げられます。マイニングに参加、投資する参加者の増加率を確認できるという意味合いで、ハッシュレートは重要度の高いデータのひとつといえます。

ハッシュレートは、長期的には継続して右肩上がりに推移しています。2019年1月11日時点の41,336,683 TH/Sから2021年2月9日時点では165,861,253TH/Sと、約4倍に増加しています。(Blockchain.comより)。

ハッシュレートとビットコイン価格の相関係数を見たところ2017年、2018年、2019年と年によってバラつきがあるためあまり参考にはなりません。しかし一方で、暗号資産業界の関係者の中には「ハッシュレートがビットコインの下値サポートラインに関係する」と見る向きもあります。足元のハッシュレート水準から分析すると、ビットコインの妥当価格は18,389ドルとなり、現在46,200ドル付近で推移するビットコインは割高と考えることもできます。

 

DeFiプロジェクト「Curve Finance」

Curveは、2020年1月にローンチされたEthereum上の分散型取引所(DEX)です。流動性プールを利用して、少額の取引手数料でステーブルコインと暗号資産を取引する
とができます。自動マーケットメイカー(AMM)が採用されており、取引高も大きいです。多種にわたるステーブルコインと暗号資産の取引がサポートされています。他のいくつかのDeFiプロジェクトと同様に、プールに流動性を提供して利益を得ることもできます。Curve financeはTrail of Bitsによって、2020年3月に監査済みです。ガバナンストークンはCRVです。

Curveの流動性プールに保管されるトークンは、CompoundやYearn.financeなど他のプロトコルにも流動性を提供します。各プールには、「Curve Compound Pool」など独自のERC20トークンがあります。

中央集権型取引所では、そもそもステーブルコイン同士の取引ペアがなかったり、手数料が高い傾向にあったりするため、ステーブルコインから別のコインに気軽に交換することが難しかった経緯があります。しかし、異なる規格のステーブルコインを交換する際に、Curveはスリッページ(注文を発注したときのレートと、実際に注文が約定するときのレートの差)を抑え、低手数料での取引が可能となりました。さらに、Curveは複数のプールを経由せずに異なる規格同士のトークンの取引を可能にし、手数料を抑えています。

また、Curve DAOでは、低リスクでの流動性マイニングができます。他の取引所で流動性マイニングを行う場合には、Ethereum上のアルトコインを交換する必要がありますが、Curve DAOではステーブルコインの交換により流動性マイニングができるためです。

暗号資産(仮想通貨)のイベントスケジュール:2月4日更新

2月16日:Bakktのビットコイン・オプションSQ(日本時間2月17日8時)

2月18日:Bakktのビットコイン先物SQ(日本時間2月19日8時)

2月20日-2月21日:シノプシス2021 国際オンサイン・サミット(開催地:オンライン)

2月26日:CMEのビットコイン・オプション、ビットコイン先物SQ(日本時間2月27日午前1時)

3月9日-3月13日:ブロックチェーン・ウィーク・ローマ 2021(開催地:イタリア)

3月16日:Bakktのビットコイン・オプションSQ(日本時間3月17日8時)

3月18日:Bakktのビットコイン先物SQ(日本時間3月19日8時)

3月18日-3月19日:ブロックチェーン・アフリカ・カンファレンス2021(開催地:南アフリカ

3月26日:CMEのビットコイン・オプション、ビットコイン先物SQ(日本時間3月27日午前1時)

ビットコイン、海外の売りポジションは拡大

足元のビットコイン(BTC)は340万円台で取引されています。最も取引量の多い米ドル建てでは34,000ドル近辺で推移しています(コインマーケットキャップより)。

一部国内の暗号資産(仮想通貨)取引所が出している投資家の未決済建て玉情報(2月1日時点)では、前週比で380万円台の売りが拡大しました。一方、海外の大手取引所ビットフィネックスでは、2月1日のショートポジションは前週と比較して87%拡大して、2,456枚となっています。ロング・ショート比率は昨年以降継続してロングポジションの方が大きく、足元では85.9%となっています。

2020年3月には、ビットフィネックスにおいてショートポジションが18,000枚台まで積みあがった直後に買い戻しのような動きが建て玉と価格で観測されました。短期的な値動きを追うには、引き続き、国内外の取引所における売りポジションの動向に注目すべきです。